GigaDesigns 社製 CPU カード G-celerator G4 1.8GHz Dual を試用してみました。

GigaDesigns 社より PPC 7447チップを使った G4 1.8GHz Dual CPUカードが発売なりましたので、
早速入手しテストしてみることにしました。(テストに使ったベースマシンは G4 QuickSilver)

このカードは 1.42GHz の PPC7447 を使用し 1.8GHz 動作確認済のもの。
今まで使っていたのは、やはり同社製の1.25GHz の PPC7455B を使用し 1.33GHz 動作確認済のカードです。
今までのカードには CPU毎に 2MBの 3次キャッシュが搭載されていましたが、このカードにはオンチップの
等速 512KBキャッシュのみで、3次キャッシュは搭載されていません。これは CPUチップの仕様によるものですが
その辺が、パフォーマンスにどれくらい影響するのか、興味のあるところです。


左上:
同梱品。ファームウェア・アップデート用の CD、オマケの Drive10の CD、
GigaMeter(システムプロファイラにて 7447 CPUの情報を正確に表示するための kext)CD、
カードのインストールマニュアル、ファームウェア・アップデータのマニュアル、ファン取付ネジ、電源分岐ケーブル。
右上:
パッケージに貼られたラベル。シリアルナンバーから察するに 8番目に製造された個体か??
左下:
パッケージ。以前の製品(1.33 Dual)はヒートシンクが別梱包で同じ大きさの箱が二つあったが、
これはコンパクトに一箱。
右下:
カード本体。


QuickSilverに装着したところ。旧型(下の写真)との違いは、ヒートシンクが小型化され、カードに初め
から取り付けられている。カード取付けネジ穴(3ケ所)には、そのままアクセス可能。
旧型はネジでカードを取り付けてからヒートシンクを載せ、クリップで止める方式だったのだが、フェイズ
チェンジタイプの熱伝導シートが使われているため、カード脱着(=ヒートシンク脱着)の度に(放熱に
万全を期すなら)シートを取り替える必要があった。
ファンが大径 1個から小径 2個に変更された。旧型でも AGP用は小径 2個だったが、この製品ではファンの
取付位置をスライドさせてずらすことで、異なるロジックボード・レイアウトに対応。
この写真では見えていないが、クロック倍率設定部分がジャンパピンから DIPスイッチに変更されている。
コア電圧変更部分は、ジャンパピンのまま。
外部電源供給用(HDD電源ケーブルから分岐)のコネクタが追加されている。
 

これは旧型。(1.33GHz Dual)付属の安物ファンは「チリチリ」うるさいので、他メーカーの同寸法、
ほぼ同じ風量の、音の静かなものに変えてある。



まずはカードを取り付ける前に(旧 CPUのまま)7447チップを認識させる為の、ファームウェアアップ
デートを実行する。マニュアル通りに、落ち着いてやれば大丈夫。(この作業に OS X 10.3.5以降が必須)
アップデート用ソフトは、ファームウェアを元に戻したり、後述の OS9ブート・パッチのインストーラ、
アンインストーラもかねている。OS Xのアプリケーションフォルダにインストールされるので、後々の
為にも削除しないで、そのまま置いておく事。

ファームウェアを変更した状態でも、旧 CPUの使用、OS 10.2、OS 9.2.2 の使用には悪影響無し。

その後、旧 CPUカードを取り外し、新しいカードを装着する。その前にファンの位置を QS、DAの場合は
上の写真のように、AGP、GigaEの場合はヒートシンクの手前側にずらし付属のネジで固定するのだが・・、
マニュアルには 4本のネジで・・・、となっているのに 2本しか入っていないし、細い木ネジみたいな
やつなのでスカスカで全然締まらない。これはちょっとお粗末だね! 初期ロット故のうっかりミスか?
後で、あうネジを探すことにして、そのままに。一応「コの字型」のアルミで挟み込むようになっている
ので、ネジ止めしなくてもズレたり落ちたりすることは無い。

マニュアルで倍率設定用の DIPスイッチが正しい設定になっていることを確認し、3本のネジでカードを
固定、付属の 電源分岐ケーブルをコネクタに繋ぐ。これは、HDD電源から取らずに QuickSilver独自の
4番目の CPU取付けビス(電源が来ている)から取ってくる方がスマートだが、他のロジックボードでも
使うこと考え、こうなっているのだろう。

これで、取付けは OK!



この状態で、OS Xからの起動は問題なし。ファインダの動作もキビキビ素早くなっているような印象。

OS 9.2.2 からも起動して使用する場合は、まず OS 9の起動システムの機能拡張フォルダ内、
Multiprocessingフォルダの中の“Apple CPU Plugins”を削除(あるいは他の場所に移動)する。
これが入っていると、7447 CPUの OS 9からの起動を妨げるらしい。
その後、前述のソフトを使用して OS9 ブート・パッチをインストールする。

これで、OS 9.2.2からの起動も OKに。

注意点として、OS9 ブート・パッチは“PRAMクリア”をしてしまうと元に戻ってしまい、OS 9からの
起動が出来なくなる。
また、OS 9のシステム CDからは(“Apple CPU Plugins”が入っているので)起動できない。

不測の事態に対応するために、専用の OS9 起動CDを作っておくか、別パーテーションに対応システムを
入れておいた方が無難。
“PRAMクリア”で失われてしまった OS9 ブート・パッチは、OS Xから起動して入れ直す。

何かあっても、起動システムの選択が出来る状態であれば、OS Xから起動して復旧することは可能だし、
HDD、システム総入れ替えするような場合は、元の CPUに挿し換えてやれば問題は生じないが、知らな
かったり、忘れていたりすると、少々厄介なことになりかねません。


さて、肝心のパフォーマンスですが定番の Xbench で測定して見ました。

CPU数値はクロックに比例して上っていますが、他はちょっと・・・・・・・、という感じですね。
予想はしていましたが、やはり 3次キャッシュが無い事が響いているのでしょうか?
FSBが充分高ければ、キャッシュの有無の影響はさほどでもないのかも知れませんが、133MHzですしね。


そして、OS X 10.3.8 で、実用環境での処理時間データです。

上段7455 1.33GHz Dual下段が 7447 1.8GHz Dualです)

50MBのRGB画像ファイル:Photoshop 7でのフィルタ処理時間。
ぼかし(放射状) 方法:回転 画質:標準 量:50%

55sec
54sec
 

Safariでのスクロール:私の現在の雑記帳、ローカルのファイルをいつものウィンドウサイズで
表示させて、上からし下までスクロールさせるのに掛かった時間。

55sec
55sec
 

QuickTimePlayerで、440MBのQTムービーからDVストリームに書き出すのに掛かった時間。

23sec
21sec
 

上記のような結果になりました。1.33と較べて悪くなっている項目はありませんが、目に見えて向上
している事も無いですね。さて、どっちが良いのか??

その他:発熱は割と少ないようです。今のところ熱による問題は出ていません。
OS Xではスリープ、及びスリープからの復帰も特に問題なし。

スリープといえば、OS9では 7455 Dual ではスリープに入ろうとした時点で必ずフリーズを起こして
いましたが(Giga、PL社製とも、QS、DAロジックボードとも)このカードはどうかというと・・・

こんなアラートが出てしまい、機能しません。フリーズはしませんけど。多分“Apple CPU Plugins”が
無いことに起因するのかも知れません。
もう一つ、OS9で困ったことは“音が出なくなった”のです!!
起動音はします。アイコンパレードの途中(最初のほう)でいつも出る、かすかなポップノイズも出ます。
ただ、立ち上ってしまうと全ての音が出ません。サウンドコントロールパネルを開いてみても、見かけ上は
異常なし。これも“Apple CPU Plugins”が無いことと関係あるのかな?
追記:音の出ない件、解決しました。外部スピーカーを使っていたのですが、試しに抜いてみて、
サウンドコントロールパネルをいじっていたら、内蔵スピーカーからは音が出るようになりました。
この状態で外部スピーカーを繋いでみると、あら不思議、直ってます。何らかの原因でスピーカーを
一時的に認識していなかったようです。

OS9で、いつも使っているアプリケーションは、一応は正常に動くようです。
※Norton の SystemInfoだけは CPUテストの途中で止まっちまいました。フリーズはせず、アプリケーションの
強制終了は効きますけど、想定外のCPUだから・・・、という事でしょう。



 

以下に、参考として同社の 7455B 1.33GHz Dual(2MB 3次キャッシュ付き)、
及びPowerLogix社製 7455 1.33GHz Dual(2MB 3次キャッシュ付き)の Xbench結果を、下に
掲載しておきました。


Gigadesign 1.33 Dual
 
 


PowerLogix 1.33 Dual
 



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